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論争の解決(2)
2009年4月16日 20:47

代替的な論争解決手段(Alternative Dispute Resolution)として調停という制度があります。調停とは法についての知識を持つ中立的立場の第三者が両者の論議を聞いて妥協点を引き出すものです。調停の費用は訴訟費用に比べれば極めて低く抑えられます。

論争の当事者は自分の弱点やリスクが見えず、両者が受け入れることが出来る合意点に達するための真摯な努力を怠る場合があります。時として関係者は感情的になってしまったり、和解をすれば自分の主義主張を曲げることになるという思い込みが激しい場合もあります。

調停人はこのような場合にも両者のケースの弱点やリスクを説明し、和解は敗退ではなく勝利と看做せるように導くことに長けています。裁判官と違い、調停者は証拠に関する様々な制限事項に縛られる必要はありません。調停により公判では得られない形での妥協を得る場合もあります。弁護士は調停人に提出する書類を準備し、この中で事実関係及び法的論議を展開するという重用な役割を果たします。

調停のためには論争の両者とも調停に参加する必要があります。そして調停案については一方が受け入れを拒否した場合には強制力はありません。しかし調停案が受け入れられなかったとしても、両者は自分達の立場がどのようなものであるかについての理解を高め、裁判によりどのような結果が期待できるのかについて知ることができるというメリットがあります。調停は両者の代表とその弁護士の出席の下、調停人の事務所にて行われることが一般的です。

最近では、コストの高い訴訟に替わる論争解決手段として調停を考えていらっしゃる方々も増えています。ニューヨークの裁判所では、裁判件数削減のため論争当事者達がまず調停のプロセスに参加することを求める場合もあります。

(この記事は週刊NY生活4/18号に掲載されました) All rights reserved.

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投稿者:
Hiro Sugano
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