Law Office of FLORENCE ROSTAMI-GOURAN BLOG
2009年5月
2009年5月16日 16:26
前回は調停についてお話しましたが、これはインフォーマルな代替的な論争解決手段(Alternative Dispute Resolution、以下「ADR」)の一つでした。仲裁はこれとは別の形態のADRになります。仲裁は手続き的には裁判よりも調停に近いですが、実質的には調停の結果には拘束力がある場合が多いという意味で裁判に近くなります。

一般的に仲裁は契約書類がある場合の論争解決方法として選択されますが、契約書に関連事項が定義されていなかったり、書面での契約が無い場合にも両者が合意すれば仲裁を行うことができます。今日では民間でのほぼあらゆる論争を仲裁に持ち込むことができます。これには商業的論争、雇用関係、知的財産関係、消費者問題、国際取引なども含まれます。

仲裁を行う裁判所には色々なものがあります。最も有名でよく選ばれるのが1926年に設立されたアメリカ仲裁協会(American Arbitration Association)です。両者は一名から三人までの仲裁者(neutral)を選ぶことができます。仲裁者はかつてはArbitratorとかArbitration Judgeとか呼ばれていましたが、その意味合いが誤解を生みやすいとしてNeutralという名前になったという経緯があります。関係者は事実関係と法律的な論点を仲裁者に提出し、口頭弁論のパネルに出席します。その後でパネルが判決を下します。裁判であれば何年もかかるであろう論争も数ヶ月で解決することができます。

仲裁はADRの効率的な一手段ではありますが、歴史的に仲裁と裁判との微妙な関係や仲裁の拘束力の例外等、仲裁を選ぶ前にその色々は問題点について知っておく必要があります。連邦政府とニューヨークを含む多くの州において、仲裁に関する法律がありますが、これについては次回にご説明致します。

週刊NY生活5月19日号に掲載されました: All Rights Reserved

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投稿者:
Hiro Sugano
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フローレンス・ロスタミ
弁護士

フローレンス・ロスタミ法律事務所創立者。米国進出の日系企業に日本語で法律相談を行う。

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