Law Office of FLORENCE ROSTAMI-GOURAN BLOG
2010年7月
2010年7月30日 17:57

会社の不利益になるような内部告発を行った従業員を、会社は解雇できるでしょうか。昨年から雇用主に義務づけられている「I−9」フォームについても教えてください。

 

 

Q     会社に不利益になるようなことを政府機関に内部告発した従業員を、会社に対する背任行為を理由に解雇できますか。

A     これは従業員が外部者に告発した内容、会社が民間会社であるか、会社が公開企業であるかによっても変わってきます。連邦法には内部告発者を守るいくつかの法律があります。連邦政府の従業員は内部告発により解雇されないよう保護されています。連邦法には民間企業の従業員が内部告発したことに対して会社が復讐することを保護する規定もあります。たとえばSarbanes Oxley Act(サーバンス・オックスレー法(SOX法))では公開企業の財務的な問題行為を内部告発した従業員を保護する規定があります。しかしSOX法は非公開企業には適用されません。他の例として、Title 7, Americans with Disability Act(タイトル7(米国人障害者法))やOccupational Health and Safety Act職場での健康と安全環境法)があります。いくつかの州では内部告発者保護のための追加的な法律を定めています。ちなみにニューヨーク労働法では告発者の保護は、その告発が公共の健康と安全についてのものであった場合に限定しています。これら限定事項以外の場合には会社は内部告発者を解雇できることになります。     

 

Q     Eメールに書いた内容でも雇用契約と見なされるというのは本当ですか。  

A     最近はEメールによるコミュニケーションが非常に増えており、人を雇う場合にもEメールがよく使われます。Eメールが契約として認められるかどうかは契約法の問題であり、雇用法の問題ではありません。Eメールは契約を構成する文書であると認められるケースは増えていますが、全てのEメール交信が契約となるという訳ではありません。会社と従業員は、そのEメールが契約を意図したものであるかどうかを明確にするべきでしょう。 

 

Q     我が社では職場での私用のEメールのやりとりを禁じています。この規則に違反した従業員を解雇しようとしたところ、プライバシーの侵害だと抗議されました。

A     会社は従業員が会社のe-mailを個人的な目的で使用したり、インターネットのあるページを見たり、会社のITシステムを通じてファイルをダウンロード/アップロードすることを禁じることができます。会社はこのようなことができないようにコンピューターのセットアップを変えることもできますが、やはり従業員に書面でそのようなことはしない旨を提出させるのが良いポリシーと言えます。

雇用主は、会社で使っている従業員のEメールを見る権利がありますが、そのことを従業員に伝えておく必要があります。会社は従業員ハンドブックを作る義務はありませんが、Eメールの使用に関してだけでなく、会社のマネジメントや会社の権利を従業員に周知徹底させるために、従業員が守るべきルールを記載したハンドブックがあると便利です。

 

Q     「I−9」について教えてください。

A     The Immigration and Reform Act of 19861986移民改正管理法)は雇用者に新しく採用する従業員が労働許可を持っているかどうかを確認する義務を課しています。これは最近まではあまり見られていませんでした、特に過去2年間において労働局が従業員の賃金について監査する際にI-9を見るようになって変わりました。今日では雇用者は雇用から3日以内に新規雇用者が労働許可を持っているかどうかを確認すべきです。雇用者が求めることができる証明書のリストもあります。会社は市民権、永住権、ワーキングビザを持っていない人を雇うことはできません。移民局にこのI−9の提示を求められたとき、これがなかったり、記入ミスや記入漏れがあったりするとペナルティを課せられます。

 

Q     解雇した従業員に訴訟を起こされないために、会社はどのようなことを心がけるべきですか。

A     一般的なアドバイスとしては、公正な態度に徹することが大切です。25人以上の従業員がいる会社は、弁護士など専門家の意見を定期的に聞くことをおすすめいたします。また、従業員ハンドブックなどの内規をしっかり定め、これを遵守することは雇用の透明性を高め、訴訟を防ぐことにつながります。


<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。
人気ブログランキングへ


投稿者:
Hiro Sugano
 | カテゴリ:  |   | コメント(0)  | トラックバック(0)
2010年7月23日 16:43

万が一解雇された場合、会社からなるべくいい条件を引き出して、次の仕事を探したいものです。そのために考えるべきポイントとは?

 

Q     予告もなく突然解雇を言い渡され、理由を聞いても答えてもらえません。不当解雇では?

A     第1回でお話ししたように、アメリカでは契約を取り交わさない「At-will Employment(任意の雇用)」による雇用が一般的です。「At-will Employment」の場合は、会社は理由がなくても従業員を解雇することができるだけでなく、解雇の理由を説明する義務もありません。従って、これだけでは不当解雇とは言えません。

Q     先日解雇を言い渡された40歳代の女性です。同じ部署にはほかに5名の社員(全員40歳未満の男性)がおり、解雇されたのは私だけです。これは性差別・年齢差別に当たるのではないでしょうか。

A     あなたが職場で唯一の40歳以上の女性であったということだけでは、会社が差別をしたことにはなりません。しかし、もし証拠があれば、「US Equal Employment Opportunity Commission」もしくは「NY State and City Human Rights Commission」に申し立てをすることができます。その後、これらの組織の決定次第で訴訟を起こすことも考えられます。差別があったことを立証することは簡単なことではありません。同じ理由で、ここ数年は差別やセクハラ訴訟で勝つことも難しくなってきています。


Q     3年契約で今の会社に入ったのですが、景気後退による業績悪化を理由に、1年目で解雇を言い渡されました。これは契約違反だと思うのですが。

A     契約を交わしている場合、あなたに落ち度がないにもかかわらず、会社が契約終了以前にあなたを解雇した場合には契約違反になります。ただし、会社が倒産した、あるいは会社にあなたを雇うお金がない場合などは、契約違反で会社を訴えても得るものがありません。


Q     50歳代の男性で妻子がいます。突然解雇されて困っています。せめて、会社からなるべくいい条件を引き出して辞めたいのですが。

A     従業員ハンドブック、マニュアル、ポリシーなどを、もう一度見てみましょう。そこに、あなたは「severance payment(退職手当)」を得る権利があるかどうかが書いてあるはずです。時折これらのポリシーを読み返して、自分の権利について知っておきましょう。大会社は退職手当のポリシーを持っている場合も多くあります。たとえば、退職後、勤務年数×毎年1~2週間相当分の給与を支払うという退職手当があるかもしれませんし、未取得の積立有給休暇について支払いを受け

られるかもしれません。

退職金の支払い方法について交渉することに、メリットがある場合もあります。たとえば退職金を毎月延べ払いにしてもらうことで自分のキャッシュフローをコントロールすることもできます。もしあなたがプ

ロフェッショナルな仕事に就いており、契約ベースの仕事を請け負うことができるなら、「independent contractor(個人事業者)」としての立場にしてもらい、その契約期間中に退職金を支払ってもらうことも考えられます。


<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。

人気ブログランキングへ



投稿者:
Hiro Sugano
 | カテゴリ:  |   | コメント(0)  | トラックバック(0)
2010年7月18日 00:02

解雇された場合、健康保険の支払いはどうしたらいいでしょうか。また、次の仕事を見つけるのも大変な昨今、自分の持つ権利を良く知った上で会社を辞めたいものですが、そのために考慮すべきことは?

 

Q     解雇されると、医療保険の支払いが心配です。解雇されたら、健康保険の支払いは100%、自分で負担しなければなりませんか。

A     会社に勤めている場合は、その会社が健康保険に加入していれば、会社が掛け金の50%〜100%を負担してくれますが、解雇されると給与所得がなくなるばかりか、健康保険の掛け金をを100%自分で払わなればならなくなるので、負担が大きくなり大変です。

しかし、会社が健康保険に入っている場合、会社は解雇した従業員に対して、COBRA(The Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act)の」権利を行使できるようにしなければなりません。COBRAは従業員が20人かそれ以上の会社の場合、解雇する従業員とその家族に対して、解雇された後の一定期間(連邦COBRAは最長18ヶ月間、ニューヨークやカリフォルニアなどいくつかの州ではこれに追加で18か月)、一定の条件下で、会社で入っていたグループ保険に入り続ける権利を与えなければならないというものです。解雇されると、健康保険の掛け金は100%自分で払わなければなりませんが、個人で健康保険に入るより会社のグループ保険に入り続ける方が、掛け金が安くてすむという大きなメリットがあります。

 

Q     失業した人の健康保険の支払いが、一部低くなる制度があるそうですが。

A     200891日から2010531日までの間に本人か家族が解雇されたCOBRAを受ける権利を持つ個人(COBRAには他にいくつかの条件があります)で、COBRAの適用を受けることを選択した人は健康保険の支払額が少なくて済む可能性があります。該当する人は最低9カ月の間、通常時の支払額の35%の支払いで済ますことができます。

 

Q     解雇の際に受け取る通知書とはどういうものですか。
A     ニューヨーク法においては、雇用者は解雇時に従業員に解雇通知書を出すことになっており、そこには雇用の最終日と、会社の提供する福利厚生が受けられる最終日が含まれます。雇用者は解雇から14日内に被解雇者がCOBRAに基づきどのような権利を有しているか、またCOBRAのカバレッジを選ぶためにはどのような書類手続きが必要かについて説明しなければなりません。解雇時に従業員と会社との間に退職金パッケージや他のクレームの和解などの別のアレンジメントがある場合には、それらの条件は書面化されます。このような書面には支払の対価として非解雇者が会社に対して持つ全てのクレームを放棄するという文言が入れられることが一般的です


<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。

投稿者:
Hiro Sugano
 | カテゴリ:  |   | コメント(0)  | トラックバック(0)
2010年7月17日 23:53

解雇に関する法律にはどのようなものがありますか。法律以外にも、解雇を行う際に雇用主が考慮すべき慣例やルールはあるでしょうか。また、解雇される側が守るべきルールは?

 

Q     解雇に関する法律にはどのようなものがありますか。

A     解雇に関する法律には、ニューヨーク州の法律の「雇用法(Employment Law)」、差別に関しては、連邦法の「タイトルVIITitle VII)」などがあります。

このほかの関連する法律には、「雇用者年齢差別禁止法(Age Discrimination in Employment Act)」、「障害を持つアメリカ人法(The Americans With Disabilities Act)」、「妊娠差別禁止法(Pregnancy Discrimination Act)」などがあります。

雇用者年齢差別禁止法では、会社がいわゆる定年制度を設けて年齢を理由に従業員を解雇することを禁じています。ただし企業のエグゼクティブなどで、毎年一定額の恩給や年金が支給される人の場合は、65際以上に対して定年制度を設けることが認められています。

 

Q     解雇を行う場合、会社は何日前までに通知を行わなければなりませんか。

A     連邦法では、50人以上の解雇を実施する場合には30日ノーティス(30日前までに通知する)を行わなければならないという規定を設けていますが、少人数の解雇の場合には特に規定がありません。しかし、解雇される従業員が余裕を持って次の仕事を探せるように、慣例として、解雇の2週間から1ヶ月くらい前に通知を出す会社が多いようです。

一方、NY州では、中規模以上の規模の会社を対象とする「The Worker Adjustment and Retraining Notification(WARN)ACT」が施行されています。これによって、会社がマスレイオフを行う際は、少なくとも90日前に解雇通知を出さなければならなくなりました。


Q     会社が解雇する従業員に対して行使できる権利には、どのようなものがありますか。

A     会社は解雇する従業員に対して、仕事に関する書類や、会社が支給していた携帯電話などの返却を求めることができます。また、会社を辞めた後も会社の秘密を守るように求めることができます。

さらに、会社の機密情報に精通している大企業のトップやIT関連企業の従業員などに対しては、競合他社で働くことや競合するビジネスを始めることを、一定期間禁じることができます。

アメリカでは、誰でも自分のもてる能力やスキルを生かして働き、収入を得る権利が認められています。しかし、ある程度以上の高い能力のある人に対しては、会社は1〜3年程度の一定期間、競合する仕事に就くことを制限することができます。ただし、その場合は、「ニューヨークで3年間XXの仕事しないかわりに、会社は●●ドル支払う」というような取り決めを行います。

 

<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。


投稿者:
Hiro Sugano
 | カテゴリ:  |   | コメント(0)  | トラックバック(0)
2010年7月17日 23:40

Q 解雇に関してよく、「レイオフ」と「ファイア」という言葉を聞きますが、これらはどう違いますか。

A 「レイオフ(layoff)」は従業員の仕事内容や勤務態度などが理由ではなく、会社側の理由による解雇のことを指します。たとえば、業績が悪化して規模を縮小したり、会社の方針が変わって、それまで所属していた部署やポジション、担当していた仕事そのものがなくなったり、合併によって同じ仕事をする従業員が増えてしまったので人員削減が必要になった、というような場合に使われます。

 一般的に「ファイア(fire)」と言われている解雇は、正しくはターミネイト(terminate)と言います。従業員に背任行為があったり、パフォーマンスに問題があったりした場合などに、特定の従業員を解雇する場合はターミネイトに当たります。


Q アメリカでは一般的に雇用契約書を取り交わさないと聞きました。

A その通りです。アメリカでは書面による契約を取り交わさない、「At-will Employment」(任意の雇用)が一般的です。この場合、会社は理由がなくても従業員を解雇することができ、また解雇の理由を説明する義務もありません。一方、従業員も自由に会社を辞めることができます。

契約書を取り交わすのは、一般的には大企業のCEO、CFOなどのトップのポジションです。雇用者側が、ある水準の経験がある人材を得たいと考えた場合に、契約書を取り交わすことが多いです。

雇用法は常に変化していますので、雇用主は常にこの変化に注意していなければなりません。たとえば昨年からニューヨーク州の雇用法(employment law)が変更となり、雇用者は新しい被雇用者に対して給与額と給与の支払頻度日(2週間に1回、毎月1回など)については、書面で通知することが義務づけられるようになりました。


Q 不当解雇とは何ですか。また、どういう場合が不当解雇に当たりますか。

A 差別による解雇は連邦法の「タイトルVIITitle VII)」で禁じられています。従業員の性別、年齢、人種、宗教、障害者である、妊娠しているなどの理由で解雇すると差別と見なされ、「At-will Employment」であっても不当解雇になります。

ただし、差別があったことを証明するのが難しいため、10年前に比べて、差別による不当解雇で訴訟を起こして勝つケースは減っています。


Q 家族がいるので、解雇されると、まず心配なのが健康保険のことです。 

A 解雇された後の健康保険の扱いに関しては、COBRA(The Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act of 1985)という法律があります。これは、グループ健康保険プランを持つほとんどどの雇用者に対して、雇用の終了により従業員の健康保険が終了する場合、その従業員が既存の健康保険を継続して受けられる機会を与えるべきことを規定した法律です。以前、この期間は18カ月でしたが、現在は36カ月に延長されています。


<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。

投稿者:
Hiro Sugano
 | カテゴリ:  |   | コメント(0)  | トラックバック(0)
« 2009年8月 | メインページ
PROFESSIONALS
フローレンス・ロスタミ弁護士

フローレンス・ロスタミ
弁護士

フローレンス・ロスタミ法律事務所創立者。米国進出の日系企業に日本語で法律相談を行う。

お問い合わせはこちら
CATEGORY
Law Office of Florence Rostami-Gouran Website