解雇に関する法律にはどのようなものがありますか。法律以外にも、解雇を行う際に雇用主が考慮すべき慣例やルールはあるでしょうか。また、解雇される側が守るべきルールは?
Q 解雇に関する法律にはどのようなものがありますか。
A 解雇に関する法律には、ニューヨーク州の法律の「雇用法(Employment Law)」、差別に関しては、連邦法の「タイトルVII(Title
VII)」などがあります。
このほかの関連する法律には、「雇用者年齢差別禁止法(Age
Discrimination in Employment Act)」、「障害を持つアメリカ人法(The Americans With Disabilities Act)」、「妊娠差別禁止法(Pregnancy Discrimination Act)」などがあります。
雇用者年齢差別禁止法では、会社がいわゆる定年制度を設けて年齢を理由に従業員を解雇することを禁じています。ただし企業のエグゼクティブなどで、毎年一定額の恩給や年金が支給される人の場合は、65際以上に対して定年制度を設けることが認められています。
Q 解雇を行う場合、会社は何日前までに通知を行わなければなりませんか。
A 連邦法では、50人以上の解雇を実施する場合には30日ノーティス(30日前までに通知する)を行わなければならないという規定を設けていますが、少人数の解雇の場合には特に規定がありません。しかし、解雇される従業員が余裕を持って次の仕事を探せるように、慣例として、解雇の2週間から1ヶ月くらい前に通知を出す会社が多いようです。
一方、NY州では、中規模以上の規模の会社を対象とする「The
Worker Adjustment and Retraining Notification(WARN)ACT」が施行されています。これによって、会社がマスレイオフを行う際は、少なくとも90日前に解雇通知を出さなければならなくなりました。
Q 会社が解雇する従業員に対して行使できる権利には、どのようなものがありますか。
A 会社は解雇する従業員に対して、仕事に関する書類や、会社が支給していた携帯電話などの返却を求めることができます。また、会社を辞めた後も会社の秘密を守るように求めることができます。
さらに、会社の機密情報に精通している大企業のトップやIT関連企業の従業員などに対しては、競合他社で働くことや競合するビジネスを始めることを、一定期間禁じることができます。
アメリカでは、誰でも自分のもてる能力やスキルを生かして働き、収入を得る権利が認められています。しかし、ある程度以上の高い能力のある人に対しては、会社は1〜3年程度の一定期間、競合する仕事に就くことを制限することができます。ただし、その場合は、「ニューヨークで3年間XXの仕事しないかわりに、会社は●●ドル支払う」というような取り決めを行います。
<おことわり>
記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。