万が一解雇された場合、会社からなるべくいい条件を引き出して、次の仕事を探したいものです。そのために考えるべきポイントとは?
Q 予告もなく突然解雇を言い渡され、理由を聞いても答えてもらえません。不当解雇では?
A 第1回でお話ししたように、アメリカでは契約を取り交わさない「At-will Employment(任意の雇用)」による雇用が一般的です。「At-will Employment」の場合は、会社は理由がなくても従業員を解雇することができるだけでなく、解雇の理由を説明する義務もありません。従って、これだけでは不当解雇とは言えません。
Q 先日解雇を言い渡された40歳代の女性です。同じ部署にはほかに5名の社員(全員40歳未満の男性)がおり、解雇されたのは私だけです。これは性差別・年齢差別に当たるのではないでしょうか。
A あなたが職場で唯一の40歳以上の女性であったということだけでは、会社が差別をしたことにはなりません。しかし、もし証拠があれば、「US Equal Employment Opportunity Commission」もしくは「NY State and City Human Rights Commission」に申し立てをすることができます。その後、これらの組織の決定次第で訴訟を起こすことも考えられます。差別があったことを立証することは簡単なことではありません。同じ理由で、ここ数年は差別やセクハラ訴訟で勝つことも難しくなってきています。
Q 3年契約で今の会社に入ったのですが、景気後退による業績悪化を理由に、1年目で解雇を言い渡されました。これは契約違反だと思うのですが。
A 契約を交わしている場合、あなたに落ち度がないにもかかわらず、会社が契約終了以前にあなたを解雇した場合には契約違反になります。ただし、会社が倒産した、あるいは会社にあなたを雇うお金がない場合などは、契約違反で会社を訴えても得るものがありません。
Q 50歳代の男性で妻子がいます。突然解雇されて困っています。せめて、会社からなるべくいい条件を引き出して辞めたいのですが。
A 従業員ハンドブック、マニュアル、ポリシーなどを、もう一度見てみましょう。そこに、あなたは「severance payment(退職手当)」を得る権利があるかどうかが書いてあるはずです。時折これらのポリシーを読み返して、自分の権利について知っ ておきましょう。大会社は退職手当のポリシーを持っている場合も多くあります。たとえば、退職後、勤務年数×毎年1~2週間相当分の給与を支払うという退 職手当があるかもしれませんし、未取得の積立有給休暇について支払いを受け
られるかもしれません。
退職金の支払い方法について交渉することに、メリットがある場合もあります。たとえば退職金を毎月延べ払いにしてもらうことで自分のキャッシュフローをコントロールすることもできます。もしあなたがプ
ロフェッショナルな仕事に就いており、契約ベースの仕事を請け負うことができるなら、「independent contractor(個人事業者)」としての立場にしてもらい、その契約期間中に退職金を支払ってもらうことも考えられます。
<おことわり>
記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。