Law Office of FLORENCE ROSTAMI-GOURAN BLOG
2011年6月
2011年6月24日 16:33

会社の不利益になるような内部告発を行った従業員を、会社は解雇できるでしょうか。昨年から雇用主に義務づけられている「I−9」フォームについても教えてください。

 

 

Q     会社に不利益になるようなことを政府機関に内部告発した従業員を、会社に対する背任行為を理由に解雇できますか。

A     これは従業員が外部者に告発した内容、会社が民間会社であるか、会社が公開企業であるかによっても変わってきます。連邦法には内部告発者を守るいくつかの法律があります。連邦政府の従業員は内部告発により解雇されないよう保護されています。連邦法には民間企業の従業員が内部告発したことに対して会社が復讐することを保護する規定もあります。たとえばSarbanes Oxley Act(サーバンス・オックスレー法(SOX法))では公開企業の財務的な問題行為を内部告発した従業員を保護する規定があります。しかしSOX法は非公開企業には適用されません。他の例として、Title 7, Americans with Disability Act(タイトル7(米国人障害者法))やOccupational Health and Safety Act職場での健康と安全環境法)があります。いくつかの州では内部告発者保護のための追加的な法律を定めています。ちなみにニューヨーク労働法では告発者の保護は、その告発が公共の健康と安全についてのものであった場合に限定しています。これら限定事項以外の場合には会社は内部告発者を解雇できることになります。     

 

Q     Eメールに書いた内容でも雇用契約と見なされるというのは本当ですか。  

A     最近はEメールによるコミュニケーションが非常に増えており、人を雇う場合にもEメールがよく使われます。Eメールが契約として認められるかどうかは契約法の問題であり、雇用法の問題ではありません。Eメールは契約を構成する文書であると認められるケースは増えていますが、全てのEメール交信が契約となるという訳ではありません。会社と従業員は、そのEメールが契約を意図したものであるかどうかを明確にするべきでしょう。 

 

Q     我が社では職場での私用のEメールのやりとりを禁じています。この規則に違反した従業員を解雇しようとしたところ、プライバシーの侵害だと抗議されました。

A     会社は従業員が会社のe-mailを個人的な目的で使用したり、インターネットのあるページを見たり、会社のITシステムを通じてファイルをダウンロード/アップロードすることを禁じることができます。会社はこのようなことができないようにコンピューターのセットアップを変えることもできますが、やはり従業員に書面でそのようなことはしない旨を提出させるのが良いポリシーと言えます。

雇用主は、会社で使っている従業員のEメールを見る権利がありますが、そのことを従業員に伝えておく必要があります。会社は従業員ハンドブックを作る義務はありませんが、Eメールの使用に関してだけでなく、会社のマネジメントや会社の権利を従業員に周知徹底させるために、従業員が守るべきルールを記載したハンドブックがあると便利です。

 

Q     「I−9」について教えてください。

A     The Immigration and Reform Act of 19861986移民改正管理法)は雇用者に新しく採用する従業員が労働許可を持っているかどうかを確認する義務を課しています。これは最近まではあまり見られていませんでした、特に過去2年間において労働局が従業員の賃金について監査する際にI-9を見るようになって変わりました。今日では雇用者は雇用から3日以内に新規雇用者が労働許可を持っているかどうかを確認すべきです。雇用者が求めることができる証明書のリストもあります。会社は市民権、永住権、ワーキングビザを持っていない人を雇うことはできません。移民局にこのI−9の提示を求められたとき、これがなかったり、記入ミスや記入漏れがあったりするとペナルティを課せられます。

 

Q     解雇した従業員に訴訟を起こされないために、会社はどのようなことを心がけるべきですか。

A     一般的なアドバイスとしては、公正な態度に徹することが大切です。25人以上の従業員がいる会社は、弁護士など専門家の意見を定期的に聞くことをおすすめいたします。また、従業員ハンドブックなどの内規をしっかり定め、これを遵守することは雇用の透明性を高め、訴訟を防ぐことにつながります。


<おことわり>

記事は一般的な内容であり、記事作成日以降の法律の改正は反映しておりません。個別の案件は弁護士にご相談ください。
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投稿者:
Hiro Sugano
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フローレンス・ロスタミ
弁護士

フローレンス・ロスタミ法律事務所創立者。米国進出の日系企業に日本語で法律相談を行う。

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