Law Office of FLORENCE ROSTAMI-GOURAN BLOG
2012年4月
2012年4月18日 10:53

アメリカでも,通常は何かトラブルが起きた場合,まずは話し合い・交渉から始めた上で,それで解決がつかない場合には,場合によっては調停等を経た上で,訴訟を提起することになります。ただ,日本に比べると,早い段階で弁護士に依頼することが多く,また,早い段階で訴訟を提起することが多いと言えるでしょう。場合によっては話し合いを経ずに突然訴状が送られてくることも珍しいことではありません。

最悪なのは,訴状が届いたにもかかわらず放置してしまうことです。日本では,訴状は通常,特別送達により,相手方弁護士が訴状を直接持ってきたとしても,それは正式な送達とは認められず,まだ送達されていないことになりますが,アメリカの民事訴訟においては,裁判所職員や郵便局員以外の,相手方弁護士や一般の人が訴状を持ってきたとしても,正式な訴状の送達となりえます。そこで,訴状が届けられたのに,単なる交渉段階の書面等と勘違いをしてしまい,対応をとらずに放置してしまうこともありうるかもしれません。その場合,日本でも欠席判決として敗訴するおそれがあるのと同じように,相手方の主張する事実が全面的に認められた判決が出てしまう恐れがあります(デフォルト・ジャッジメントと言います)。

訴状(と同時に送達される召喚状が)や送達方法が正式なものであるか,よく分からなければすぐに弁護士に相談すべきです。正式な訴状である場合,訴状と召喚状の送達を受けてから,通常21日以内(州等によって異なります)に答弁書を提出しなければなりませんので,すぐに内容を検討して反論の準備を始める必要があります。また,複数の州にまたがった訴訟ではどこの裁判所で裁判をするかという管轄が非常に大きな問題になりますが,原告が自分の地元の裁判所で訴訟を起こしてきたとき,そのままその裁判所で応訴してしまうと,管轄違いであると主張するチャンスを失ってしまうことにもなりますので,注意が必要です。

投稿者:
Hiro Sugano
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2012年4月 9日 12:13

アメリカにおける,契約書の重要性については今更言うまでもありませんが,それは単に日本で用いている契約書を英訳すれば良いというわけではありません。

まず第一に,アメリカにおいては,日本における契約書よりもはるかに細かく具体的に規定をしておく必要があります。これは,契約書に明記されていなくとも,法律による一般条項によってカバーされる部分も多い日本法に比べると,アメリカ法においては契約書に規定のない事柄は請求できないと考えておく必要があるからです。さらに通常,契約書に記載のない事項については,例え契約書締結前の交渉や覚え書きで別の合意がされていたとしても,後に争いになったときにそれらを証拠として持ち出すことはできないとする規定が契約書には入れられますので,合意された全ての条件について契約書に記載しておかなければならないからです。

また,第二に,当然ながら法制度が違う以上,日本法にはない規制等に関する配慮も必要です。例えば,不動産登記制度が日本とは全く異なるため,重要な土地の売買契約においては,売主がたしかにその土地の権利者であることについては,日本以上に慎重に確認することが必要です。

重要な契約を締結する際には,必ず弁護士のアドバイスを受けることをお勧めします。

投稿者:
Hiro Sugano
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フローレンス・ロスタミ弁護士

フローレンス・ロスタミ
弁護士

フローレンス・ロスタミ法律事務所創立者。米国進出の日系企業に日本語で法律相談を行う。

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